私の身近に、 今でもスマートフォンを使っていない人がいます。
使っているのは、 一昔前の「ちょっと便利になった」ガラケー。
電話ができて、メールができて、 必要な連絡はすべて取れる。
本人も、 「これで充分なんだよ」 と本気で思っていました。
その言葉を聞いて、 私は違和感を覚えませんでした。
むしろ、よく分かる。 そう思ったのです。
「覚えなければいけない」という壁
スマートフォンに抵抗を感じる人の多くは、 「新しい機械が苦手」なのではありません。
本当の理由は、
- また一から操作を覚えないといけない
- 間違えたら取り返しがつかない気がする
- 誰にも聞けないまま、困ってしまいそう
そんな不安なのだと思います。
長く生きてきた中で、 自分なりのやり方が出来上がっている。
それを崩してまで、 新しいことを学ぶ必要があるのか。
その問いに、 明確な答えが見つからないから、 距離を置く。
それは、とても自然なことです。
iPhoneのショートカット機能で気づいたこと

私はiPhoneの「ショートカット」という機能を よく使います。
これは、 自分がよくやる操作を、 ボタン一つでできるようにする機能です。
たとえば、
- 「おやすみ」と言うだけで、アラームをセットしてお気に入りの睡眠YouTubeを再生
- 帰宅ボタンを押すだけで、家族に「今から帰ります」とメッセージを送る
こうした「自分専用の操作」を、 簡単に作れるのです。
使っているうちに、 あることに気づきました。
iPhoneは、 こちらが何を望んでいるか、静かに待っている ということに。
iOSに隠された「配慮」の正体
iPhoneの中身であるiOSは、 不思議な設計になっています。
- 勝手に何かを始めない
- こちらが指示するまで、じっと待っている
- でも、求められたら確実に応える
これは、 「効率」や「便利さ」を追求した結果ではありません。
むしろ、 使う人が安心できるように という配慮なのだと感じます。
たとえば、
ショートカットを作るとき、
iPhoneには 作っている途中で内容を確認できる仕組み が、あらかじめ備わっています。
いきなり完成させて実行するのではなく、
途中の段階で
「ここまでの設定で大丈夫か」
を、その都度確かめられる。
少しまどろっこしく感じるかもしれません。
でもそのおかげで、
間違いに気づいたらすぐ戻れる。
やり直せるという安心感が、最初から用意されています。
その思想は、今のAIと驚くほど似ている

最近、「AI」という言葉を よく耳にするようになりました。
ChatGPTやClaude、Geminiといった 「会話ができるAI」が登場し、 世の中が大きく変わろうとしています。
多くの人は、 「また新しい技術か」 「覚えることが増える」 と身構えるかもしれません。
でも、実はこれらのAIは、 iPhoneのiOSと同じ思想で作られています。
それは、 「人が指示するまで、待つ」 という姿勢です。
AIは「教えてくれる人」ではなく「待っている人」
従来のパソコンやスマホは、 「この順番で操作してください」 という決まりごとがありました。
その順番を覚えないと、 使えませんでした。
でも、今のAIは違います。
- 「〇〇がしたいんだけど、どうすればいい?」と聞ける
- 間違えて伝えても、「こういうことですか?」と確認してくれる
- 何度でも、自分のペースで聞き直せる
つまり、 こちらが主導権を握ったまま、使える のです。
これは、 iPhoneのショートカット機能が、 「あなたのやりたいことを、あなたのペースで設定してください」 と待ってくれるのと、まったく同じです。
「AIリテラシー」という言葉に、惑わされないでほしい
最近、 「AIリテラシーが必要だ」 という言葉をよく聞きます。
まるで、 また新しい勉強をしなければいけないような プレッシャーを感じるかもしれません。
でも、実際には違います。
AIを使うのに、 特別な知識は必要ありません。
必要なのは、
- 「〇〇してほしい」と言ってみる勇気
- うまくいかなかったら、「違う、こうしてほしい」と言い直す柔軟さ
- 完璧を求めず、試してみる気持ち
つまり、 普段の会話と同じなのです。
スマホを避けてきた人ほど、AIと相性がいい理由

「スマホは苦手」 「新しい機械は覚えられない」
そう思ってきた人ほど、 実はAIとの相性がいいのではないか。
私はそう感じています。
なぜなら、
AIは、 覚えなくていい道具 だからです。
- マニュアルを読まなくていい
- 正しい手順を覚えなくていい
- 「こうしたい」と言葉で伝えれば、AIが理解しようとしてくれる
長く生きてきた中で培った、 「人に何かを頼む力」 「状況を言葉で説明する力」
それだけで、 AIは十分に使えます。
むしろ、 人生経験が豊富な人ほど、AIを使いこなせる のではないでしょうか。
iPhoneは、AIへの「入り口」になるかもしれない
もし、 スマホを使っていないあの人が、 iPhoneを手にしたとしたら。
最初は戸惑うかもしれません。
でも、
- 「Hey Siri」と話しかけてみる
- 「明日の天気は?」と聞いてみる
- 「〇〇さんに電話して」と頼んでみる
そうやって、 少しずつ「話しかけて操作する」ことに慣れていく。
それは、 これから当たり前になる 「AIとの付き合い方」の練習 にもなるのです。
iPhoneのSiriは、 完璧ではありません。
時々、聞き間違えます。 うまく答えられないこともあります。
でも、それでいいと思います。
失敗しても大丈夫 やり直せば、ちゃんと応えてくれる
それは、知識ではなく、
「失敗しても大丈夫だと思える感覚」なのだと思います。
最後に――AIは「若い人のもの」ではない
「AIは若い人が使うもの」 「自分には関係ない」
そう思っている方に、 ぜひ知ってほしいことがあります。
AIは、 操作を覚える必要がない、 初めての「機械」です。
だからこそ、
- 長く生きてきた知恵
- 言葉で伝える力
- 経験から生まれた判断力
そうした「人間らしさ」を持つ人ほど、 AIを味方にできるのです。
iPhoneのSiriに話しかけるように、 AIに「ちょっと教えて」と頼んでみる。
その小さな一歩が、 これからの暮らしを、 少しだけ楽にしてくれるかもしれません。