エッセイ・思考

言葉に宿る、静かなメロディー

言葉をメロディーとしてとらえている優しい女性

年齢を重ねてくると、
ふとした瞬間に、
言葉の響きが気になることがあります。

意味を急いで理解しなくても、
耳に入ってきたときのやわらかさや、
どこか懐かしい感じ。

「言葉には、それぞれ固有の
メロディーがあるのかもしれないな」

そんなふうに思うことが、
最近少し増えてきました。


言葉は、音として心に届いている

日々の暮らしの中で交わされる言葉は、
人と人をつなぐ、大切な橋のようなものです。

同じ言葉でも、

  • しんみりと胸に残ることがあれば
  • ほっと安心させてくれることもあり
  • 思わず笑みがこぼれるように響くこともある

それは、言葉そのものだけでなく、
声の調子や、話す速さ、
そしてその人の気持ちが
一緒に伝わってくるからなのでしょう。

言葉は「意味」だけでなく、
音として、心に届いている
――そんな気がします。


言葉の響きに気づくと、会話がやさしくなる

少しだけ、
言葉の「響き」に意識を向けてみる。

それだけで、
会話の中に余裕が生まれたり、
相手の表情を、
前よりもよく見るようになったりします。

急がず、無理をせず、
自分の気持ちに合った言葉を選ぶ。

それは、
相手を思いやることでもあり、
自分自身を大切にすることでもあるのだと思います。


歌が心にしみる理由

年を重ねるほど、
歌が心にしみるようになるのは、
なぜでしょうか。

それはきっと、
歌が言葉本来のリズムや響き
大切にしているから。

意味をすべて理解しなくても、
なぜか涙が出たり、
昔の風景が浮かんできたりする。

言葉と音が重なったとき、
心の奥にしまっていた思い出が、
そっと顔を出すのかもしれません。


今日の一言を、やさしい音で

私たちは毎日、
たくさんの言葉を使っています。

その一つひとつに、
小さなメロディーが宿っているとしたら。

少しだけ丁寧に、
少しだけゆっくりと、
言葉を選んでみたくなります。

今日交わす一言が、
誰かの心に、
静かであたたかな音として
残ってくれたら――

そんなことを思いながら、
言葉と向き合っていきたいですね。

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