私は長年ギターを弾いています。
メロディーであれば、楽譜を見なくても、頭に浮かんだ音を指が自然に追いかけてくれます。
ところが伴奏になると、少し事情が違います。
コード譜を見れば弾けるのですが、楽譜がないと、
「次はどのコードへ進めばよいのだろう」
と考えてしまいます。
コードの押さえ方を知らないわけではありません。主要なコードはひと通り覚えています。
それでも、メロディーのように次のコードが自然に浮かんでこないのです。
この違いが以前から気になっていました。
昔の「流し」のように弾いてみたい
昔の流しの人は、お客さんから曲名を聞くと、その場で伴奏して歌わせていたそうです。
すべての曲のコード進行を、完全に暗記していたわけではないと思います。
曲を聴きながら、
「この流れなら、次はこのコードだろう」
と予測する力があったのでしょう。
私が身につけたいのも、この感覚です。
コード譜を正確に読むことではなく、音楽が次にどこへ進みたがっているのかを感じる力です。
そこで、その感覚を段階的に練習するためのWebアプリを作りました。
ブラウザで開いて使える、簡単な練習用のアプリです。
「コードの流れを感じる練習帳」

このアプリでは、画面に途中までのコード進行が表示されます。
たとえば、
C → Am → Dm → ?
という進行です。
すぐに答えを見るのではなく、最後の「?」に入るコードを自分で予想して、実際にギターで弾きます。
そのあとで答えを確認します。
この場合は、
C → Am → Dm → G7 → C
という流れが代表的です。
G7を単独で覚えるのではなく、DmからG7へ進み、最後にCへ戻ったときの落ち着く感じまで耳で確かめます。
この繰り返しによって、コード名ではなく、コード同士のつながりを身体に覚えさせていきます。
コードを覚えるためのアプリではありません
このアプリは、ギターを始めたばかりの人がコードの押さえ方を覚えるためのものではありません。
主なコードは弾けるけれど、
- コード譜がないと伴奏しにくい
- 次のコードを予測できない
- 曲を聴いて伴奏を付けられるようになりたい
- コード進行を、コード名ではなく、
「Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ」といった、そのキーの中でのコードの役割として感じられるようになりたい
という人を想定しています。
練習は、基本的な3コードから始まり、マイナーコード、循環進行、さらに「セカンダリードミナント」と呼ばれる少し発展的な進行へと、少しずつ進みます。
名前は少し難しそうですが、まずは理屈よりも響きを確かめながら進めます。
効果的な使い方
練習するときは、必ずギターを手に持ちます。
画面を見て頭の中だけで答えるよりも、予想したコードを一度音にすることが大切です。
私が考えている基本的な練習方法は、次のようなものです。
- 表示されたコード進行を弾く
- 答えを見る前に、次のコードを予想する
- 予想したコードを実際に弾く
- アプリで続きを確認する
- 最後に最初のコードへ戻り、流れ全体を味わう
予想が外れても、すぐに間違いと考える必要はありません。
自分が選んだコードと、アプリに表示されたコードを弾き比べると、それぞれが違う方向へ進もうとしていることがあります。
その違いを聴くことも、大切な練習になります。
同じ進行を別のキーでも弾いてみる

C調で、
C → Am → Dm → G7
と弾いたあと、G調で、
G → Em → Am → D7
と弾いてみます。
キーが変わっても、コード同士の役割は同じです。
コード名は変わりますが、どちらも、
Ⅰ → Ⅵm → Ⅱm → Ⅴ
という同じ流れです。
この共通点が分かってくると、曲ごとにコード進行を丸暗記しなくても、別のキーへ応用しやすくなります。
1日15分ほどから始めます
一度に長時間練習するよりも、毎日少しずつ続ける方が、この練習には合っているように思います。
最初の目標は、正解率を上げることではありません。
答えを見る前に、自分なりの続きを必ず一度弾くことです。
続けていくうちに、
「そろそろⅤへ行きそうだ」
「ここはⅣへ動きたい」
「このあとⅠへ戻ると落ち着きそうだ」
という感覚が、少しずつ生まれてくるのではないかと思っています。
楽譜を読む伴奏から、流れを感じる伴奏へ
このアプリを作って改めて感じたのは、コード進行にもメロディーと同じような「行き先」があるということです。
メロディーでは、次の音を一つずつ理屈で計算しているわけではありません。
長年弾いてきた経験から、指が自然に次の音へ向かいます。
コードでも同じような感覚を身につけることができれば、楽譜への頼り方も少しずつ変わっていくのかもしれません。
目指しているのは、
楽譜を見てコードを弾く人から、曲を聴いて次のコードを感じる人へ。
という変化です。
すぐに昔の流しの人のようにはなれないでしょう。
それでも、毎日少しずつ「次を予想する」練習を続ければ、これまでとは違った聴き方、弾き方が身についてくるのではないかと思っています。
ギターは弾けるけれど、コード譜からなかなか離れられないという方は、よろしければ試してみてください。