パソコンの中には、大切なデータがたくさん入っています。
でも、そのデータを「何で開くか」は意識しても、「どんな形で残すか」を考えたことは意外と少ないのではないでしょうか。
新しいソフトが登場すると、私はつい試してみたくなります。
Word、Excel、Access、Notion、Obsidian、そしてAI。
「これならもっと便利になるかもしれない。」
そう思って触ってきました。
実際、それぞれに良いところがあり、多くのことを学ぶことができました。
一方で、長年パソコンを使ってきて感じることもあります。
新しいソフトは次々に登場します。
でも、数年たつと使わなくなるものも少なくありません。
そのたびに、
「このデータは取り出せるだろうか。」
「別のソフトでも使えるだろうか。」
そんなことが気になっていました。
思えば、これは今に始まったことではありません。フロッピーディスク、MOディスク、CD-R……私たちはこれまでも、記録メディアが変わるたびに同じ不安を抱えてきました。
せっかく残した年賀状の宛名録や、家計簿のデータが、新しいパソコンに変えたとたん開けなくなった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
オールインワンソフトへの憧れ
昔から、
「WordもExcelもAccessも一つになるようなオールインワンソフトが登場する」
という話を何度も耳にしました。
確かに、一つのソフトで何でもできれば便利です。
でも最近になって、少し違う考え方をするようになりました。
本当の意味でのオールインワンとは、一つのソフトではなく、一つのデータなのではないか。
ソフトが変わっても、データは残った

例えば、私はPythonista(iPhoneやiPadでPythonを動かせるアプリ)で作ったデータをJSON形式(ほかのソフトでも読み込みやすいデータの保存形式)で保存したことがあります。
私が見たいYouTubeの番組を、履歴の中から探すのではなく、整理された一覧から見られるようにするアプリです。
データはiCloudに保存しておいたおかげで、パソコンのPythonで同じアプリを作り直したときにも、同じデータをiPhoneだけでなく
Windowsでも読み込めました。
ソフトが違っても、同じデータを使えたのです。
そのとき、
「大切なのはソフトではなく、データなのかもしれない。」
と感じました。

Markdownという、ただのテキスト
最近になって、Markdown( 記号を使って書くシンプルな文章形式 )も同じ存在だと気付きました。
Markdownは特別なソフト専用の形式ではありません。ただのテキストファイルです。
文章の見出しや太字を、記号だけで表す簡単な書き方なので、専用ソフトがなくても読むことができます。
ブログ記事はObsidian(Markdownでメモを管理できる無料のノートソフト)にそのまま貼り付けて使えますし、バックアップとして保存しておくこともできます。
さらに、VS Code(文章やプログラムを書ける無料の編集ソフト)でも開けますし、AIもそのまま内容を理解できます。
将来、別のソフトが登場しても、おそらくそのまま使えるでしょう。
これは、専用のアルバムに貼った写真よりも、裏に日付とひとことを書いただけの一枚の写真のほうが、何十年後でも誰でも見て意味がわかる、というのと似ているかもしれません。
構造を理解しているのはAI
考えてみると、
WordPressの記事も、Notionも、Obsidianも、みんな「見出し」「段落」「画像」といった構造を持っています。
違うのは画面の見た目だけです。
AIは、人が画面で見ている見た目よりも、「これは見出し」「これは本文」といった文章の役割を見ています。
フォルダー整理の中で気付いたこと
今回、パソコンのフォルダーを整理しながら、私は一つのことに気付きました。
これまでは、「どのソフトで管理するか」ばかり考えていました。
でも本当に考えるべきことは、
「どのソフトでも使える形で残っているか」だったのです。
AIが進化するほど、この考え方は大切になるような気がします。
AIは特定のソフトの中だけを理解しているわけではありません。
Markdownも、JSONも、HTML(ホームページを書くための基本的なデータ形式)も、画像も、まとめて理解してくれます。
つまり、データが共通であれば、AIがそれらを一つの作品としてつないでくれる時代になったのです。
これから、少しずつ試してみたいこと
どれも特別なことではありません。これから何かを新しく残すときには、次のようなことを心がけてみようと思っています。
- 大事な文章は、専用ソフトの機能に頼りすぎず、まずテキストやMarkdownでも残しておく
- 写真は、特定のアプリのアルバム機能だけに頼らず、フォルダーに日付や説明を添えて保存しておく
- 家計簿や住所録などの表は、そのソフト独自の形式だけでなく、CSVでも書き出しておく
こうしておけば、たとえ将来そのソフトを使わなくなっても、あるいは家族が代わりにパソコンを整理することになっても、
中身を読み取ってもらえる可能性がぐっと高くなります。
家族に残すものを考える
もう一つ、年齢を重ねて感じるようになったことがあります。
私たちが今パソコンの中に大切にしまっているもの日記や写真、メモや記録は、いずれ家族が目にすることになるかもしれません。
そのとき、専用ソフトが必要だったり、パスワードがわからなかったりすれば、どんなに大切な記録でも、開くことすらできません。
シンプルな形で残しておくことは、実は自分のためだけでなく、残された家族への、静かな思いやりでもあるのだと思うようになりました。
だから私は、
これからはソフトを資産にするのではなく、データを資産にしたいと思うようになりました。
ソフトは時代とともに変わります。
でも、シンプルなデータは長く残ります。
そして、そのデータを未来のAIが読み取り、新しい形で活用してくれるかもしれません。
そう考えると、
デジタル資産とは、パソコンの中にあるファイルではなく、どの時代でも読める形で残されたデータそのものなのだと思います。
あとがき
フォルダー整理から始まった小さな気づきでしたが、今では「何を残すか」だけでなく、「どんな形で残すか」を考えるようになりました。
ソフトは時代とともに変わります。
でも、シンプルなデータは長く残ります。
そして、そのデータは未来のAIだけでなく、未来の自分や家族にも受け継がれていきます。
そう考えると……
AI時代になって初めて、データそのものが長く価値を持つということを実感しています。
長年パソコンと付き合ってきた者として、
これからパソコンを整理される方や、大切な記録の残し方を考えている方の、何かのご参考になれば嬉しく思います。